思いがけずロマンチック

いくら益子課長に嫌味なことを言われても私には反論の余地なんてない。


確かに考え事をしていたのは事実だから。笠間さんの仕事を終えて営業としての役割を終えたけれど、気持ちを切り替えることはまだできないでいるのも事実。


悔しいけれど早く気持ちを切り替えて新しい仕事に取り掛からなければいけない。


そう思った矢先に思い浮かんだのが有田さんの歓迎会。ホテルの担当者との交渉を思い出した。


「益子課長、ホテルの担当が当日遅れてくる人数を把握したいと仰ってました、連絡しておきましょうか」

「ああ、忘れてたよ。ありがとう、私が連絡しておくよ」

「遅れてこられるのは本社の方ですか?」

「そうだ、本社の営業部長と私の二人だけだよ」


休日の午前中、しかもすぐに歓迎会が始まる時間だというのに二人で会うなんてどんな用事があるんだろう。最近ずっと益子課長が本社に入り浸っている理由も気になるけれど聞いて確かめる勇気はなかった。


「すみませんが益子課長からホテルの担当者に連絡してもらってもいいですか?」

「わかったよ」


そう答えた後、益子課長がふと鼻で笑ったような気がした。



< 172 / 228 >

この作品をシェア

pagetop