思いがけずロマンチック

笠間さんと別れ、私は有田さんの後を追うよう会場へと戻った。扉を開くのと同時に宴席のざわめきが一気に静まって皆の視線が突き刺さる。


早く始めろと言いたげな視線の中、千夏さんを見つけた。
織部さんとは隣同士のテーブルだけど、ふたりはお互いを避けるように、わざと視線が交わらないような位置に座っている。いつも明るい笑顔でいてくれる千夏さんは沈みがちな表情で、織部さんも不機嫌そうな顔をしている。


なんとかしたいと思うけれど、ゆっくりと考えている時間は今の私にはない。


いざ開宴。司会進行と時間に追われて席に着く間も無くなっていく。


益子課長に書き換えられた進行表なんて気にせず、次々と運ばれる料理とお酒にお腹と心を満たされたみんなが私をフォローしてくれる。私の代わりに歌ってくれたり飛び入り参加で一発芸を披露してくれて盛り上げてくれる。


益子課長も本社の偉い人たちが来ていないことなんて、もはや誰も気にしていない。たぶん気にしてるのは私だけだろう。
もう、このまま来なくてもいい。などと邪悪なことを考えてしまう。




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