思いがけずロマンチック

「お疲れ様、今日はありがとう」


片付けを済ませて荷物を纏めていると、有田さんに呼びかけられた。有田さんは肩の荷が下りてほっとしたように、柔らかな表情をしている。


「こちらこそありがとうございました、思わぬサプライズでしたね」


「いろいろと悪かった、また面倒なことを頼むかもしれないが、手伝ってもらえるか?」


ちょっと嫌味に返したら、有田さんは申し訳なさそうな顔をして頭を下げる。


教えてもらえなかったことは悔しいけれど、今日こんな形で発表してくれたことが嬉しかった。手伝えることがあるなら、これからも力になりたい。
終わりにはしたくないから。


「何でも言ってください、その代わりにお願いがあります」

「見返りか?」

「もちろんです、規則を見直してください」

「やっぱり……それか」


有田さんは大きく息を吐いて呆れ顔。何度も同じことばかり言い続ける私に、そろそろ嫌気がさしているのかもしれない。
だけど、これだけは譲れないし諦められない。


社内恋愛禁止の規則がなくなれば、千夏さんと織部さんが堂々と付き合えるし結婚も考えられる。規則を変えてもらうために、私が有田さんを落とす必要なんてない。


これから、私はどうすればいいんだろう。


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