思いがけずロマンチック

「そうか、ありがとう、目処がついたなら残りは明日にして、今日はもう帰っていいよ」


喉元まで出てきそうになっていたところを有田さんが邪魔をする。いや、今頃ではなく、もっと早く言って欲しかった。

益子課長はすっかり明るい顔色で、さっさと片付け始める。


「では今日は失礼します。唐津さんも帰ろう、今日のことは忘れて、また明日すっきりと始めよう、な?」


さらに片付けながら私を見て、意味深な言葉を発した。

有田さんが来るまでの出来事は忘れろ、という意味だろう。有田さんが見ている手前、あからさまなことは言えないから遠回しに念を押したのだ。


返事をためらう私を益子課長は気にしているらしい。片付ける手を止めずに、何度も注ぐ視線が少しずつ険しさを増していく。


視界の端には黙って私たちを見つめる有田さんが映っている。


「益子課長も余計なことは忘れて、ゆっくり休んでくださいね、明日からまたよろしくお願いします」


ほんの少し語気を強めると、益子課長は手を止めて頷いた。




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