ルルー工房の月曜の午後
prologue.
prologue.


胸にベージュ色の布をきつく巻きつけ、その上に白いシャツを羽織って、

あたしは一番上のボタンを縫い付けた糸をはさみで切った。


ボタンがぽろっと床に落ちる。

それを拾いもせず、残りのボタンを一つ一つ留めると、裾をグレーの長ズボンの中へ押し込んだ。


姿見に自分の姿を映して、あたしは笑った。

姿見の中の自分の顔が、呆れたように歪むのを見た。


今日新調したばかりの白いシャツは、もう茶色く汚れてしまっている。

ついさっき、あたしがこの手で庭の地面にこすりつけてきたのだ。


街ですれちがった少年から買い上げたボロボロの革靴を履けば、どう見てもどこにでもいる少年だ。

――髪以外は。


「……ん、まあ、仕方ないね」


できればやりたくなかったけど。

だって、自慢の髪だったから。

でも、仕方ない。


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