強引なカレの甘い束縛
時間をかけて新居を決めることも、子どもに合う転校先を考えることもできないばかりか、結局は単身赴任を選ばざるを得ない場合も多い。
そのことが大きな負担となり、仕事に支障が出ることも否定できない。
一方、事前に異動の時期と赴任先がわかっていれば、準備期間を持つことができ、異動によるストレスも軽減される。
それを重視している大原部長は、異動が予定されている部下の状況を把握しようと努力してくれる。
異動の可能性が高ければ、本人に直接言うことはできないにしても家を購入するのはしばらく待った方がいいとか、子どもの進学予定を確認するなどして異動のタイミングをはかってくれることもある。
介護を必要とする家族を抱えている場合、転勤先での病院や適切な施設の資料を雑談交じりに手渡してくれることがある。
それを「大原部長のひとりごと」と言って、転勤の可能性のある社員が神経をとがらせるものとなっている。
口外できないタイミングでそれを本人に伝えるわけにはいかず、バーベキューをしながらの会話のひとつとして、遠回しに話す大原部長の言葉。
社員たちはその「ひとりごと」を理解し、内示が出るまでの準備期間として動き始めるのだ。