強引なカレの甘い束縛
まるで決意表明のようなその様子に、再びその場は静まり返った……と思った次の瞬間。
「お、お前、本当に萩尾さんのことが好きなんだな。いや、若いっていいよな。俺も若い頃は薫に夢中で何かとくっついては怒られてたな」
愛する奥様を思い出して頬を緩めている大原部長の言葉が聞こえた。
仕事中のきりりとしている鋭さは消え、大切なものを思う柔らかさばかりが見える。
といっても、大原部長がこんな風に奥様のことをのろけるのは珍しいことでもない。
そのギャップもまた魅力のひとつではあるけれど、今は面倒にしか思えない。
「大原部長の愛妻家ぶりはよくわかってますから、えっと、部内会議の時間が迫ってますので、会議室に移ってください。私はこの画像をさっさと消去して電話番頑張ります」
部内をひと睨み。
会議室を使える時間は決まっているし、今日の部内会議の議題はかなり多い。
こんなことをしている場合ではないのだ。
そのことにようやく気づいたのか、この場にいた面々がばたばたと散っていく。
「ほら、陽太も急いでよ。銀行のプロジェクトの進捗状況の報告もしないといけないでしょ」
「まあ、そうだけどさ。そのスマホ、やっぱ取り上げ?」
困った声で問いかける陽太に、ほんの少しだけ申し訳ないかなと思ったけれど。
「取り上げじゃないよ。写真を消去したら返す。会議の間はいらないでしょ?」