強引なカレの甘い束縛
「いやいや、会議の合間に七瀬の写真眺めると気合が入るんだ。だから返せよ」
「き、気合?」
その意味が分からない。気合って、いったいどういうことだ?
「七瀬のために頑張っていい仕事をして、そして結婚。俺の夢を早く叶えるために七瀬の写真を見て気持ちを上げるっていうか、やる気を出してるのに」
「え、と。会議中に写真を見るの?」
「ほんの数回だぞ? それも、十秒くらい見たら会議に集中。集中力が途切れそうになったらまた見るって感じ」
「感じってそんな軽い。会議中はそれに集中してよ。ただでさえプロジェクトと通常業務の引き継ぎで忙しいのに」
「だからだよ、忙しいから癒しが必要なの。言っておくけど、そのスマホの写真を消去しても、バックアップはとってあるから大丈夫なんだ」
「バ、バックアップ?」
「抜かりはないから、その写真を消去しても意味ないし」
陽太は自慢気にそう言うと、急いで机の上の資料を集め、席を立った。
「じゃ、会議に行ってくる。あ、今日の電話当番は七瀬なの? そっちも忙しいだろうけど、頑張れよ」
「あ、うん」
「で? やっぱりスマホは?」
「は? 返すわけないでしょ。じっくりと写真をチェックして消去しまくってあげる」
「あー。今日の会議は長く感じるだろうなあ……ちぇっ」
悔しそうにそう言って、わざとらしく肩を落とすと。
「まあ、写真じゃなくて、本物の七瀬がそばにいればそれでいいか。うん、そうだな」
……ひと言多い。
それも、私が照れて困るようなことばかり。