強引なカレの甘い束縛


最優先業務のひとつといえるこのプロジェクトについての話し合いには多くの時間が割かれるだろうし、陽太が発言する機会は多いと思う。

「スマホなんて、見る余裕ないと思うんだけどな」

マウスを動かしながら、肩をすくめた。

スマホで撮った私の写真を会議中に眺めては気分転換しているというけれど、陽太にそんな時間はないに違いない。

人当たりのいい軽い物腰と、いつも明るい表情を見せる姿からは想像できないくらい、陽太は仕事ができる。
文系の学部を卒業した陽太は、入社するまでシステム開発には無縁の生活を送っていた。

けれど、配属されたのはわが社の花形部署であるシステム開発部。

新入社員研修を終えたあと手渡された辞令を見て驚き、絶対に間違いだと思ったらしい。

けれどそれは間違いでもなんでもなく、陽太の人間性と能力を見て判断した人事担当者と大原部長が納得して決めたことだった。

入社して数年たった今なら、そういうことはよくあることだとわかるけれど、当時の陽太は混乱していた。




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