強引なカレの甘い束縛
「彼女、勉強熱心だね。ご両親のお店を継ぐの?」
「いいえ、お兄さんがいるので彼女は手伝っているだけです。僕が異動にでもなれば連れて行くつもりなんで、それまでなんですけど」
「へえ。ちゃんと将来のことを考えてるんだ」
「もちろんですよ。いずれ本社に戻ってくるとはいっても異動は避けられないですからね。彼女にはちゃんと話してあります」
「そ、そうなんだ」
元山くんのしっかりとした口調に、驚いた。入社二年目にしてこの覚悟。
たしかにこの会社で働いていれば異動は避けられないけど、彼が異動を言い渡されるのはあと数年は先だろう。
それなのに今からちゃんと考えているなんて。
「入社してすぐ、春川さんに言われたんですよ。惚れた女がいるなら、異動のときには一緒に連れて行くつもりで今から口説けって」
思い返すように話す元山くん。惚れた女って、彼女のことに違いない。
「配属されてすぐの俺にはぴんとこなかったんですけど、いざ半年ごとの組織変更を目の当たりにすると、その意味がわかります。彼女も覚悟してくれていますし。だから就職せずご両親のお店を手伝っているんです」
「へえ、そうなんだ。いざ異動が決まっても、動きやすいもんね」
「はい。春川さんも今のプロジェクトが完結したら、萩尾さんを連れて異動だって言ってました」
「……え?」