強引なカレの甘い束縛
「萩尾さん?」
「ん? 大丈夫よ、あまりにも自分が鈍くて反省してるだけだし」
「はあ」
ゆっくりと体を起こし、相変わらず私の背後に立っている元山くんに向き直る。
「さ、仕事しよう。みんなが出払ってる今は仕事を片づけるのにもってこいだしね。それと、私の結婚云々はしばらく忘れてね。大原部長から出てる『静観命令』とやらは今後も継続中ってことで、よろしく」
低い声で一気に言えば、元山君はにやりと笑い何度か頷いた。
「静観しながら、二人を生ぬるい目で見守ってます。あ、スイーツのお店の感想、良ければ教えてください。彼女が参考にしたいって言ってるんで」
「見守らなくていいから、別に。あ、素人の単なる感想でよければまた報告してあげる。彼女によろしく」
軽く手を振って、話はここで終わりだと言外に伝えた。
元山くんはまだ私をからかいたいような顔をしてたけれど、「そういえば、出張報告書を終わらせないと」と、ぶつぶつ言いながら自分の席に戻っていった。
ようやくひとりになり、気持ちを落ち着かせようと手元に用意しておいたコーヒーを飲んだ。