強引なカレの甘い束縛


「えっと、山内さんは、たまたま専門書を見ながらプログラムをたどっていた私に気づいて、初心者向けの本を貸してくれて、で、いろいろレクチャーしてくれたの」

「なんだよ、興味があるなら俺に聞けよ。いつでも教えてやるのに」

肩を落とし、拗ねた口ぶりで話すと、陽太は机の引き出しを開き、何冊かの本を取り出した。

「俺が入社してまず勉強した専門書。山内さんのおすすめで、かなり役にたったから、興味があるなら読むか?」
「え? いいの? 陽太はもう使わないの?」

「たまに見るときもあるけど、これ以外にも何冊もあるからいいんだ。まあ、何冊も読まなきゃ仕事にならなかったってこと。なんの知識もなくここに放り込まれたから、ほら」

陽太は手元の専門書をぺらぺらめくって見せた。

引き出しから出てきてすぐに気づいたけれど、どれもこれも陽太が読み込んだ名残がたくさん残っている。

付箋がいくつも貼られているし、表紙のカバーは破れている。

広げれば陽太が引いたに違いない幾つもの下線が目に入る。

わからない個所や重要な文に線を引いて何度も読み返したに違いない。




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