強引なカレの甘い束縛
入社して以来、仕事として成立するまで必死で勉強したんだろう。
今や若手期待の星でもあり、重要プロジェクトに召集されるエリートだ。
私は机の上に並べられた幾つもの専門書を順に手にとり、ページをめくった。
陽太が新入社員時代に必死に勉強した軌跡をたどりながら、その内容に目を通す。
「当然だけど、専門用語ばかりだね。パソコンで出張手当を打ち込むのとはわけが違う」
「そう難しく考えなくてもいいって。今修正個所を見つけたみたいに、気楽に読んでみれば? 七瀬には七瀬の仕事があるから、時間ができたときにでも、気分転換に。この部署でずっと働くつもりなら、どんな仕事で売り上げを出しているのか、知っておくのも悪くないだろ」
「そうか、そうだね。この部署に長くいるなら、自分の担当以外のことを知っておいた方がいいもんね」
私のように事務職として各部署に配属されている社員は多いけれど、部内ですすめている業務のすべてを知っている人は少ない。
私も、自分が担当している事務関係についてはスムーズに処理できるけれど、それ以外はさっぱりだ。
システム開発をメインの業務としているこの部署に籍をおいているというのに、それは恥ずかしい。