強引なカレの甘い束縛
「とりあえず読んでみようかな。山内さんに教えてもらったときも意外に面白かったし、のみこみが早いって誉められたし」
「だから、山内さんに聞くんじゃなくて俺に聞けよ」
「うん、だけど陽太もプロジェクトに足を突っ込んでるから忙しいし。あ、山内さんもそのうち異動なんだよね……。部長のお宅のバーベキューでそう聞いたし。小野さんはどこでもついて行きますって言ってたけど大変だね」
「まあな。異動はサラリーマンの宿命だから。だけど小野さんみたいに可愛い奥さんと一緒なら、頑張れるだろ」
「陽太も、可愛い奥さんが欲しい? あ、いい、今の、なし。もちろん陽太だって欲しいよね。わかってるから答えずともよい」
早口で話す私に、周囲の視線が集まって恥ずかしいけれど、陽太はとくに気にすることもなく。
「そりゃそうだろ。あ、でもかわいだけじゃなくて、可愛い恋女房ってやつ? おれはそういうのに憧れるんだよなあ」
胸の前で両腕を組み、夢見るように話す陽太を見て、頬が熱くなる。
〝恋女房〟なんて、普段聞き慣れない言葉だし何だか陽太の想いの深さを教えられたような気がする。
まるで私がその〝恋女房〟であるかのような照れくささを感じて、慌てて気持ちを鎮める。