強引なカレの甘い束縛


だけど、陽太はそんなことは顔に出さず。

『公香と手をつないで走るのを楽しみに来たんだよ。パパより若いし格好いいだろ?』

陽太は、忍さんが来られなくて拗ねていた公香にそう言って、にやりと笑った。

陽太のことが大好きな公香はその笑顔だけで機嫌を直し、ふたりで参加した親子競技は見事一等賞。

姉さんもほっとしていた。

そのときのことを思い出せば、心は自然に温かくなり、陽太をいっそう好きになる。

ふわふわした気持ちでスマートフォンを握りしめると、どきどきと聞こえる心臓の音。

講座のことでさっきまで陽太に怒っていた気持ちが一気に小さくなり、今すぐにでも会いたくなった。

そういえば、今作っている煮込みハンバーグは陽太の大好物だし。

会いたい気持ちは今に始まったことではないのかもしれない。

『ねえ七瀬? 陽太くんのことはひとまず後にしてほしいんだけど。えっと、今日ね、父さんと一緒に仕事をしていた加納さんがうちに来られてね』

「え、あ、ごめん。聞いてなかった、加納さん? 加納さんが来たの?」

陽太に会いたいなとばかり考えていた私は、姉さんの声に慌てた。





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