強引なカレの甘い束縛
「そうなの。父さんと母さんの命日が近いのもあって、お線香をあげにきてくださったんだけど」
「あー。そうだね、もうすぐ命日だね」
それまでの軽やかな気持ちが一瞬で落ち込む。
私や姉さんを振り回し、その自由奔放さに悩まされたとはいえ、父さんと母さんは大切な家族だった。
亡くなったときは当然悲しかったし、命日がくるたび、両親に会いたいと思う。
自分の考えを周囲に伝えられる強さを身につけた大人になったせいか、今なら父さんと母さんに振り回されない自信もある。
ひとりで生きることのできない子どもだったあの頃と違い、今ならふたりに従わずとも生きていけるし、あの頃だって父さんと母さんの無茶を拒む言葉を口にすればよかった。
今なら父さんと母さんに「嫌だ」という言葉も言えるという自信が、ふたりに会いたいと思う気持ちにつながっている。
時間という、何よりも効果のある薬のおかげか、それとも家族への感情は最終的には柔らかなものへと変化するのか。
今が幸せだからこその、そんな両親への思いに今はホッとしている。
そう思うと同時に心に溢れる姉さんへの罪悪感。
この感情から解放されることはないような気がする。