強引なカレの甘い束縛
「そのうちに見に行きたいけど、特に私たちの生活に影響があるものじゃないのよね」
私が一番気になることを口にすると、姉さんはそれを明るい声で笑い飛ばした。
『ないない、全然ないから大丈夫。これから七瀬の生活に影響を与えるものがあるとすれば、それは私たち家族じゃなくて陽太君でしょ? ようやくうふふな関係になったみたいだし、せいぜい陽太君に大切にされて右往左往しなさい』
「うっ……」
私は言葉を詰まらせた。
そうだった、陽太に会いたいと思っていたんだった。
職場とプライベートの切り替えは鮮やかに、と思いながら毎日過ごしていたというのに。
家に帰ってのんびりと心を解放させるどころか陽太がたくらんだ講習会のことに怒り、それでも陽太が大好きな煮込みハンバーグを作りながら会いたくなっているなんて。
とっくに陽太に右往左往させられている。
それに気づくとなおさら姉さんに何も言えなくなった。
姉さんはくすくすとしばらく笑ったあと。
『じゃ、落ち着きのない夜をお過ごしくださーい』
と言ってあっさりと通話を終わらせた。
会話が終わったスマートフォンを手にしたまま、私はしばらくの間「陽太のばかー」と意味のない叫び声をあげていた。