強引なカレの甘い束縛


父さんと母さんが遺した品々がまた見つかったらしい。

ひとつの場所に落ち着くことができなかったあのふたりは、それこそ日本各地に自分たちの痕跡を残している。

仕事で全国を回ることが多かった両親は、各地で撮った写真の中でお気に入りのものをその地で知り合った人たちに残すことも多かったようだ。

両親が亡くなった後、そのことを知った人たちが、その写真を遺族である姉と私に送ってくれるようになり、今でもそれは続いている。

撮影で沖縄に行ったときに父さんが代金先払いで買い込んでいた『古酒』が十ケースも届いたこともあれば、収穫されてすぐのトマトが熊本から送られてきたこともある。

お酒はそれほど飲めないしにしても、大好物のトマトはとてもおいしくて何度も舌鼓を打ち、贅沢に食べたけれど。

それでも予想もしないものが突然送ってこられればそれをどうするのか悩む。

いつまで続くのかもわからないこの状況に、姉さんも私もびくびくしている。

「それにしても……陽太とのこと、私ってそんなにわかりやすいのかな」

ごまかすつもりはないとはいえ、姉さんに話すまでに心の準備をする時間が欲しかった。

それに、陽太と想いを交えた幸せを、もうしばらく、ふたりだけで実感したかった。

「贅沢な悩みだな」

思わずくすくすと肩を揺らして笑い、口もとは緩む。

ひとりで照れながら、私は夕食の準備を再開した。








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