強引なカレの甘い束縛


それに、日常生活の変化を望まない私を気遣っていたはずの陽太が今口にする言葉は、そんなこれまでとはまったく違うものばかり。甘くてとろけそうな言葉の羅列は私の戸惑いを何倍にもするけれど、不思議と心地いい。

私を好きだと自覚してからも、陽太はその気持ちを私に伝えようとしなかった。

それは、変化を好まない私が陽太の言葉をすぐに受け入れるとは思えず、タイミングを図っていたらしい。

一方、私が陽太を好きだということは、私が自覚するよりも早くから気づいていたと胸を張っていたけれど。

私たちの曖昧な関係があまりにも長すぎたせいか、伝えたくてたまらなかった気持ちをいったん口にした途端、その口からは私が呆然とするほど愛に満ちた言葉ばかりが出てくる。

『来週から七瀬が講習会に行ったら寂しいから、俺も午後は休みたい』

『七瀬が作ってくれたお弁当を食べたから昼からの打ち合わせが冴えた』

『朝、目が覚めたときに七瀬が俺の恋人なんだなと思うと、にやける』

『この会社に入って配属が決まったときは後悔ばかりだったけど、七瀬とこうしていられるから俺の人生悪くない』

甘い言葉の大洪水に、私ははじめのうちは陽太にからかわれているだけですぐにその熱も冷めるだろうと思っていたけれど、それは大きな間違いだった。

ここ数日、陽太の言葉だけでなく視線も何もかもがもう。

もう、もう、熱すぎる。



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