強引なカレの甘い束縛
十人ほどだろうか、普段のスーツ姿とは違うラフな格好で動き回っている人たち。
同じ部署のメンバーだ。
「じゃ、このとうもろこしを持っていってくれる? うちの人の大好物なのよ。これとマシュマロがないと拗ねちゃうの。本当、子供でしょ?」
「マシュマロ……」
けらけらと朗らかに笑い声をあげる奥様、じゃない、薫さんから視線を外せないまま、私は陽太に引きずられるように、みんなのもとへと向かった。
そのとき、手にしていたチーズケーキに気づき足をとめた。
「あの、これ大したものではないんですけど」
私は昨夜焼いたチーズケーキが入った箱を薫さんに手渡した。
「あら? 噂のチーズケーキかしら? 時々亮介さんが自慢するのよね。七瀬ちゃんの手作りチーズケーキって会社でも評判なんでしょ?」
「いえ、評判だなんて、とんでもない。ただ、お料理やお菓子作りが好きなので」
「いいわねえ。私なんておにぎりも綺麗に握れないしホットケーキもうまく焼けないのに」
ため息をついているけれど、奥様の表情は明るくてそれを気にしているようには見えない。あっけらかんと笑う表情はとても魅力的だ。