強引なカレの甘い束縛
「七瀬の料理はかなりのもんですよ。このチーズケーキだって絶品です」
「よ、陽太。そんなに褒めてももう何もないから。薫さんもあまりかいかぶらないでくださいね」
私のことだというのに、自慢げに話す陽太の腕を軽く叩いた。恥ずかしすぎる。
「そうなの? それを知っているってことは、陽太くんは七瀬ちゃんのお料理をよく食べてるってことね? いいわねえ。私も七瀬ちゃんのようなお嫁さんが欲しいわ」
薫さんは私と陽太を交互に見ながらくすくす笑うと、それ以上何も言わず、バーベキューの準備をしている庭に案内してくれた。
「おはようございます。遅くなってすみません」
大原部長をはじめ、部署のメンバー十人ほどと、本社から離れた場所にある営業部の女性が数人、そして初めて見る女性も交じり、バーベキューの準備をしていた。
そうか、大原部長の直属の部下だけが来ているわけじゃないんだ。
ふとそれに気づき、このバーベキューの意味がなんなのか、さらにわからなくなった。
けれど、今はそれどころじゃない。
まずはお手伝いしなきゃ。
コンロ二台には既に火がおこされていて、網と鉄板がひとつずつ準備されていた。
日差しよけのパラソルも二本立てられていて、椅子とテーブルも用意されている。
少し緊張しながらそこに近づくと、コンロの中の炭をトングで調整していた篠山君が、陽太に気づき声をかけた。