強引なカレの甘い束縛
だから、私の今日の目的はたまごサンドを食べにくること、が正しい。
そして、おいしいと評判のたまごサンドは、その評判を裏切ることなくとてもおいしかった。
四枚切りのトースト一枚だけでもかなりの厚みだというのに、厚さ一センチほどのたまご焼きを挟んで食べるなんて想像以上のボリュームにわくわくした。
陽太に笑われるのを覚悟で大きな口を開けて食べた。
ソースが口の周りにつくのも避けようがなく。
それでも「お持ち帰りができないなんて、残念」と悔しがるほどおいしかった。
テイクアウトできないたまごサンドだからこそおいしく感じるのかもしれないなと思いながらも、絶対にまた来ようと陽太と約束した。
今までこんなにおいしいものを知らなくて損をしていたなと思うと同時に、これもまた私の新しい世界の始まりだと気づいた。
もしかしたら、私をこれまでの世界から連れ出そうとしている陽太の作戦なのかもしれない。
カフェの窓際の席に座った目の前の陽太はたまごサンドだけでは足りなかったのか、今はパンケーキを食べていて、その顔はかなり幸せそうだ。
見惚れるようにその食欲に関心していると、ふと目があった。
「なに? パンケーキも食べたい?」
「ううん、たまごサンドだけで十分」
「そう? まあ、輝さんのお店でも何かと出されるだろうし、俺もこのくらいにしておくか」
「そうだよ。輝さんもだけど、砂川さんも一緒だから、いつもみたいにあれこれすすめられるよ」
「だなあ。できればあの雑炊を作ってほしいよなあ」
陽太は手にしていたナイフとフォークをお皿に置いて、思い返すようにつぶやいた。
あの雑炊というのは、輝さんのお店で一晩を過ごさせてもらったときの心温まる雑炊のことだろう。