強引なカレの甘い束縛
「裏メニューだから、無理かなあ。でも砂川さんには弱いみたいだから砂川さんにお願いしてみようかな」
私の声に、陽太は大きな笑顔を作った。
「あれだけ格好良くて女性客の視線をひとり占めの輝さんの弱点がお姉さんなんて笑える。会社にも密かに輝さんを狙ってお店に通ってる女の子がいるし」
「それは私も知ってるけど、輝さんにもとうとう特別な女の子ができたらしいよ」
「は? 俺、砂川さんと打ち合わせで会っても何も聞いてないぞ。そっか、今日は仕事の打ち合わせの合間に輝さんにもいろいろ突っ込んでやろう」
ニヤリと笑った陽太に肩をすくめて難しい顔を作った私も、心の中ではどうやって輝さんをからかおうかと悪だくみ。
私の表情を見て、陽太が再びニヤリと笑った。
これまで散々私と陽太との関係をひやかし、興味津々だった輝さんを、どうしてくれようかと。
まずはあの日の雑炊のお礼を言って、いつもお店のカウンターで飲んでいる陽太と私の気持ちを後押しするようなお酒を出してくれたことに感謝して。
そして、いよいよひとりの女性に気持ちを寄せたらしい輝さんの幸せを祝って。
笑い合いたくて仕方がない。
交じり合う視線の中で、陽太と私はお互いの想いを交換した。
そんな一瞬のやり取りが、とても、心地いい。