強引なカレの甘い束縛


「格好いい格好いいって、何度も言う必要ないだろ」

「え?」

「たしかに輝さんは格好いいし、男でも憧れるけどさ、俺に何度もそれを言うなよ」

私の手を掴みずんずん歩いていく陽太に引っ張られるようについていく。

足早に歩く後ろ姿を見ながら何度も声をかけるけれど、すべて無視された。

「輝さんのことを気にしてどうするのよ。陽太とはまったく違うんだから気にしても仕方ないでしょ」

ほとんど駆け足に近い状態で陽太の隣に並び声をかけると、陽太はさらに強く私の手を握りしめた。

「輝さんと全然違っていて悪かったな。どうせ俺はあそこまで見栄えは良くないし男の色気ってのもないけどさ」

「はあ?」

陽太は前を見つめたままひたすら速い足取りで駅に向かっている。

その横顔からは機嫌の悪さがすぐにわかって、あらら、と思いながら私も横を小走りで歩く。

今、私はそんなに輝さんのことを誉めたかな。

大して意識してなかったし、陽太が輝さんのことをここまで気にするとは思わなかった。

というよりも、輝さんだけでなく、自分以外の男性を意識するなんて想像もしてなかった。



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