強引なカレの甘い束縛


「嫉妬深い陽太はなかなか新鮮だし、ようやく落ち着くところに落ち着いたって感じだけど。今は七瀬ちゃんではなく、えっと、由梨香ちゃんだっけ? 彼女がこのイケメンの元恋人だったらしくてさ」

「え? 稲生さんの?」

陽太は稲生さんと市川君を交互に見ながら、はっと目を見開いた。

「ま、まさか、市川巽? え? 稲生さんの恋人? だけど、今は恋人いないって言ってたよな」

「だから、元恋人だって。それに、久しぶりの再会で盛り上がってる……んだよね? からかったりしないでよ」

私は肩に置かれたままの陽太の手に自分の手を重ね、何度かポンポンとたたいた。

慌ててここまで来てくれたのか、陽太の手は熱い。

「だ、だけど、市川巽と昔付き合ってたのか。そりゃ、社内でどんな男に声をかけられてもなびかないわけだよな」

陽太のひとり言のような言葉に、稲生さんは慌てて口を開いた。

「なびかないなんて、そんなことないです。私、もてないし、恋愛に対して真摯じゃないし……」

「もてないなんて、またまた。稲生さんを気に入ってる男子、俺が知ってるだけで三人いるし、これまでだって、振られておちこんでる奴なら何人か見たぞ」

「そ、それは、あまり親しくない人から声をかけられてもすぐに付き合えないのでお断りしているというか……」

早口で話す稲生さんは、やっぱりかわいい。

見た目通りのお人形さんのようで、いつまで見ていても飽きそうにない。




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