強引なカレの甘い束縛
「春川さんとおふたりでゆっくりしたいですよね。私は、これで帰り……」
「そんな、別に気をつかわなくていいから。せっかく『マカロン』に来たんだから、おいしいお料理をいっぱい食べようよ」
「でも。私、お邪魔じゃないですか?」
「ないない、お邪魔じゃない。この一週間一緒に頑張ったんだから、もっとゆっくり話したいし、どちらかといえば、突然陽太が来て私もびっくりしてるのに」
椅子から腰を浮かせて帰ろうとする稲生さんを止めながら、陽太に相槌を求めれば。
「突然で悪かったな。俺だって、この一週間、講習会で疲れてるだろうからって気を遣って七瀬に会うのを我慢してたんだからな」
顔をしかめて拗ねている顔が目の前にあった。
仕事を離れれば自分の感情に素直な陽太に、疲れた体が軽くなるような気がした。
私だって、仕事と講習会にこの一週間のほとんどを費やしていたせいで陽太に会いたくてたまらなかった。
けれど、毎晩家で講習会の課題を終えた時には日付が変わっていた。
プロジェクトで忙しくしている陽太に電話していいものか、ためらってしまい、メールでその日のことを簡単に伝え、最後におやすみなさいと記すだけにとどめていた。
できれば声を聞いて話したいし、時間が合えば会いたい気持ちだって大きくなっていた。
でも、その気持ちを言いたくても言えないのが私。
陽太が私に会いたい気持ちを我慢していたと言ってくれるのはもちろん嬉しいけれど、それ以上に、陽太のように素直に自分の感情を口に出せることが羨ましくてたまらない。