強引なカレの甘い束縛
「佐山さん……と、え? 岡崎さん?」
「よっ。春川の代わりに運転してきたんだろ? お疲れ」
「いえ、それはいいんですけど。あれ? 佐山さんは岡崎さんと?」
「ああ。ようやくここに来る気になってくれたんだよ」
同じ部署の先輩である佐山さんは嬉しそうに笑い、隣に立っている岡崎さんに視線を向けた。
そのままかがんで彼女の顔を覗き込む様子は普段のきりりとした佐山さんとはまるで違って優しすぎる。
「け、賢ちゃん、近いって」
岡崎さんは佐山さんの肩をそっと押して離れようとしているけれど、見るからにその力は弱くて、まるでじゃれているだけのように見える。
その様子に私の方が照れてしまうけれど、それよりも。
けんちゃん、って言った?
佐山さんのこと、けんちゃんって言った?
ということは、ふたりは特別な関係ってことで、すなわち恋人ってことなのかな。
この場にいる人たちはすでにこのふたりのことを知っていたのか、とくに動じる様子もなく穏やかにふたりのじゃれあいを見ている。