強引なカレの甘い束縛
「1カラットが大きいっていうけど、一生に一度の買い物だし、見栄えのいい物を買っておくのもいいんじゃないか?」
「あ……うん、そうだけど」
「石の質にもよるんだろうけど、俺は見た目が大きいのがいいな。七瀬はとっくに売約済みだって一目でわかるだろ?」
「わ、私のことなんて誰も気にしないよ」
「いやいや、七瀬を狙ってる男どもを俺がどれだけ牽制してきたか。俺が知ってるだけでも片手じゃ足りないし」
「……気のせいだよ」
苦笑しながら呟いた私を、くくっと笑う陽太の手が再び抱き寄せる。
私は、こてん、と陽太の肩に頭を乗せて、目を閉じた。
なんて暖かくて幸せなんだろう。
お互いの想いを伝えたあとの満たされた感覚は、これまでにはなかったものだ。
これからも同期としての付き合いを続け、いずれ異動となる陽太の背を見送る未来を覚悟していたのに。
陽太の決断と強気な行動力によって、そして何よりも、私を大切に想ってくれる愛情が、この幸せを呼び込んでくれたのだ。
現状維持にこだわっている私の想いを知っているのに、それを吹き飛ばすような言葉と包容力。
もう、私はここから逃げ出したくない。
そして、陽太のこれからの変化を柔らかく受け止めたい。
そのためには、私が変わらなければならないということだ。