強引なカレの甘い束縛


高校卒業後、姉さんと忍さんに用意してもらったマンションで暮らし始めてから、私は精神的に落ち着き、生活のすべては順調だった。

それ以前に、両親を亡くした後に済ませなければならない公的な手続きの多くを忍さんが手配してくれた弁護士さんが引き受けてくれた。

名前を知られた画家だった両親には多少の遺産があり、姉さんと私がそれを相続する手続きや、継続中の仕事の処理など、多くの雑務を弁護士さんが淡々とこなしてくれた。

もちろん、姉さんと私が直接出向いたほうが早く処理が終わるものや、判断しなければならないものは、その都度顔を出して頭を悩ませた。

それでも、姉さんと忍さんのおかげで、思ったよりも早く通常の生活に戻ることができた。

大きな会社を経営している音羽家の力を実感し、そして、姉さんと私への過大なる愛情に感謝ばかりの当時、私はそれに甘えることを申し訳なく思いながらも、どうすることもできなかった。

申し訳ないと思う気持ちに目をつぶり、それを受け入れて折り合いをつけるしかなかったのだ。

姉さんとの結婚を熱望している忍さんと、その想いに応えたい姉さんの気持ち。

そして、姉さんだけではなく「七瀬ちゃんも家族になりましょうね」と気遣いを見せてくれた音羽家のみなさん。

忍さんは姉さんと結婚した後も、私の生活は音羽家が面倒をみると言い出した。

音羽家の財力を考えればそれは大した負担ではないと何度も説得されたけれど、私はそれを断り続けていた。



< 260 / 376 >

この作品をシェア

pagetop