強引なカレの甘い束縛


親族になるとはいっても、私の面倒をみなければならない義理はないはずだ。

けれど姉さんは、私が音羽家の申し出を受け入れなければ結婚をしないと言い出した。

私が大学を卒業し、就職をして、自分の力でしっかりと生きていけるようになるまでは私と一緒に暮らし、もちろん生活の面倒をみると、姉さんは頑なに言い張った。

忍さんは、姉さんの私への愛情を優先してくれ、結婚は私の大学卒業を待つと言ってくれたけれど、すぐにでも姉さんと結婚したい気持ちは明らかだった。

姉さんを気に入っていた音羽家の皆さんも同様で、すぐにでも結婚を、という言葉を何度か耳にした。

『七瀬には七瀬の気持ちの準備があるから、自分のその気持ちにだけ素直になればいいのよ』

姉さんと離れて暮らすことに不安を覚えていた私が、あと数年は一緒に暮らしたいと思っていたのはたしかで、姉さんのその言葉にホッとしたけれど。

ただでさえ両親から私を引き取り、多くの時間を私に注いでくれていた姉さんの幸せをこれ以上邪魔してはいけないとも思っていた。

とはいっても、大学の学費や生活費すべてを自分ひとりで用意するのは難しいという現実を考え。

『いずれ出世払いでご恩返ししますので、よろしくお願いします』

私はそう言って音羽家のお世話になることにした。

それで姉さんが忍さんと結婚し幸せになれるのならと、もちろん音羽家への申し訳なさに胸は痛んだけれど、そうするのが一番現実的だと自分を納得させた。

その決意を姉さんに伝え、音羽家のみなさんに頭を下げたあと、すぐに、忍さんは今住んでいるマンションを用意してくれ、私の生活に気を配ってくれた。

姉さんが忍さんと無事に結婚し、私がひとり暮らしを始めた後も、ことあるごとにマンションに立ち寄り気を配ってくれたのは、姉さんや忍さんだけでなく音羽家のみなさんも同様だった。




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