強引なカレの甘い束縛
私一人の生活を支えるくらい、なんてことはないと笑い飛ばす忍さんのお父さんの言葉に、ほんの少し気持ちは和らいだけれど、甘えてばかりはいられない。
住居は用意してもらったけれど、生活費はバイトをしてどうにか稼いでいた。
それでも足りないものは姉さんが用意してくれたけれど、両親が遺した遺産を学費に充てて、私は気持ちの上では穏やかな大学生活を送っていた。
そして、いよいよ就職活動を始める時期となった頃。
休日の我が家に忍さんのご両親と、音羽家御用達の百貨店の外商さんがやってきた。
就職活動を応援すると言って、是非とも必要な物を用意させてほしいと並べられたラックにかけられたスーツの数々。
そして、落ち着いた色合いの鞄と靴。
その数は一部屋を占領するほどで、事前に何も知らされていなかった私は驚いて何も言えなかった。
どちらにしてもスーツや鞄は用意しなければならず、値段と種類を参考にさせてもらおうと見たのはいいけれど。
その値段の高さに再び口を閉ざした。
参考になるなんてものではなく、姉さんに必死で断ったけれど。
音羽家の勢いと、ここぞとばかりに売り込む外商さんの押しに勝てるわけはなく。