強引なカレの甘い束縛
「なあ、そうやって俺を煽って、楽しいか? 俺が今までこの部屋に来るたびに我慢していた努力を知らないからそんなことを……」
「煽ってないけど、もう、我慢しなくていいよ」
「だから、今そういうことを言うなよ」
苦しげな陽太の声に、私は口もとだけで笑ってみる。
陽太が私を求めてイライラしている。
抱きしめてくれる手も、小刻みに震えているのはきっと、私を求め過ぎてどうしようもない気持ちと折り合いをつけている証拠。
「私も……もう、我慢したくない」
私だって、陽太の背中に回した手が震えている。
キスなら何度かしたけれど、それ以上の陽太をまだ知らない。
知りたい気持ちを隠すつもりはなかったけど、まだ、無理だとずっと思っていた。
きっと、痛みと喜びが混じり合った幸せに泣いてしまうに違いない。
それを求めて、私の体から甘い香りが沸き立つようだ。
「七瀬……」
陽太の唇が、私の首筋に痛みを落とす。
「ここで、抱いていいのか? それとも、ベッドに移る? だけど……まだ、なんだよな」
熱い吐息とともに、陽太が小さく問いかける。
「現実離れしたスーツの話、まだ続きがあるんだろ?」
「あ……うん。ちゃんと覚えてたんだ」
「そりゃそうだろ。スーツの話はともかく、大学時代に入院したことが本題なんだろ?」
はあ、と大きなため息。
私の耳に感じた熱に、体がいっそう震えた。
それにしても、さすが、陽太。
こうして甘い空気に囚われていても、私が気にしていること、話したいことを察してくれるなんて。
どれだけ男前なんだ。