強引なカレの甘い束縛
「素敵なスーツを着て、普段はしないフルメイクで鏡の前に立つ自分の姿を見て、怖くなった……。自分って、こんな姿だったのかって初めて知ったみたいで不安で。でも、慌てて着替えたジーンズとシャツも姉さんが買ってくれた物で、それも着心地がよくて何度も着ているお気に入り。何か、おかしいって感じても何がおかしいのかわからないまま、クローゼットの中をひっくり返して何度も着替えたけど。そのどれもが姉さんが用意したものばかり。私が自分で買った服って、通学の途中で雨に降られて、コンビニで仕方なく買った靴下くらい。その現実を知って、すごくショックを受けちゃった……」
当時を思い出して俯くと、陽太の手が私の頬をすっと撫でた。
励ましてくれているのかと思ったけれど、頬に流れる涙を拭ってくれたようだ。
「ごめん……。湿っぽくなっちゃった」
「泣いてる七瀬もかわいいから許す。というより、どんな七瀬にも惚れてるから。泣きわめいてもいいから、話してすっきりしろ」
「そ……そんなこと言われても、えっと。その。ありがとう」
大きな笑顔を向けてくれる陽太に照れてしまう。
見慣れているとはいえ、ここまでまっすぐに想いを口にする陽太を新鮮に感じた。
けれど、これが陽太と恋人同士になったってことなんだと、今までにはない力を感じて、私もどうにか口もとを上げた。