強引なカレの甘い束縛
「あの日、服だけじゃなくて、家具や電化製品もすべて姉さんが揃えてくれた物ばかりが部屋にあるって気づいて、呆然としたの。私がこの家に持ち込んだものは、子どもの頃から大切にしている幾つかの物だけ。たしかにこの家は音羽家の物だし、私は住まわせてもらってるだけだってわかってたけど、私は姉さんたちのおかげで生きているんだって改めて突きつけられたみたいで、吐きそうになるくらい気持ちがおかしくなって。そのまま逃げるように家を飛び出して……」
そこまで話して、口をつぐんでしまった。
それからどうなったのか、話さなくてはいけないのに、陽太の顔を見ながら不安が溢れてくる。
いったん止まったはずの涙がすっと頬を伝い、唇をかみしめた。
目の奥が熱くて、どうしようどうしようという言葉が頭の中を何度も繰り返す。
すると、陽太の手が私の唇をそっと撫でた。
「だから言っただろ? 唇をかみしめて傷つけるくらいなら俺とキスしろって」
くすくす笑って、陽太の顔が近づいたかと思うと、唇が重ねられた。
軽く触れただけで、あっという間に離れた熱を追うように寂しさを感じると、その想いが顔に出たのか、陽太がうれしそうに目を細めた。
「物足りないって、目で言うなよ。止まらなくなる自信もそれ以上に進める覚悟もとっくにあるんだからな。……七瀬にはまだそこまでの熱があるのかないのか探るのにも疲れた。もう、我慢しない自信なら誰にも負けないぞ」
私の顔をのぞきこんだ陽太の瞳が熱を帯びていて、何も言えなくなった。
私に対して、欲を感じているのが明らかすぎて、気持ちいいくらいだけど。
やっぱり、それはもう、照れるし恥ずかしいし。