強引なカレの甘い束縛
「無理していないわけじゃないけど、言わなきゃ、陽太と一緒にいられない」
「……わかった」
「陽太……?」
意外にあっさりと私の言葉を受け入れた陽太に、ほんの少し違和感を覚えたけれど、とにかく話さなければという気持ちが強くて、話を続けることにした。
「自分の結婚でさえ後回しにしてまで私を大切にしてくれたのに、姉さんから逃げ出したいって思うなんて、信じられなかった。だけど、真綿のような柔らかな檻……このマンションでぬくぬくと生きていた私には、何もできなかった。ひとりで生活する自信がなくて、逃げたくても逃げられない」
そこまで話して、一拍置いた。
今では後悔しか残っていないあの日のこと。
「あの日、私の部屋に忘れ物をしていた姉さんが戻ってきて、私がいないから何度もスマホに連絡を入れてくれたんだけど、私はずっと無視していて。だけど、姉さんは私のことはお見通しで、私がいた公園に忍さんとふたりで来たの」
「そっか。七瀬がどこにいるのか、すぐにわかったんだな」
「うん。私が以前住んでいた家に行ったってピンときて、近くの公園にいるっていうのもわかったらしくて……私、姉さんに私のすべてが見透かされてるみたいで、怖くて。慌てて姉さんたちとは反対に走り出して、そのまま公園を飛び出したの。姉さんと忍さんも追いかけてきて、それで」
陽太は、口を閉じた私の頭をするすると撫でてくれた。
話の続きを急かすでもなく、落ち着いた仕草で私を落ち着かせてくれる。