強引なカレの甘い束縛


それなのに。

「私が修学旅行に行きたいって無理を言わなければ、姉さんは自分の人生をもっと楽しめただろうし、私を引き取る必要もなかった。責めるなら、私を責めて欲しいのに、自分を責めてばかりで……おまけに足が……私のせいで」

「七瀬のせいじゃないだろ。あのとき、七瀬だってぎりぎりの精神状態だったんだ」

「そんなこと、ない。私が我慢すればよかったの。姉さんの愛情が重いとか、窮屈だとか、そんなわがままが許されるわけがないって、わかってたのに。姉さんは私のために自分を犠牲にして、いつも私を最優先に考えてくれていたのに。私があのとき、逃げ出さなかったら、姉さんも怪我をしなかったのに」

「七瀬、それは違う」

「違わない」

陽太の落ち着いた声に、私は大きな声で答えた。

「違わないよ。だって、ずっと姉さんは私のことだけを考えて、結婚だって延期しようとしたくらいだし、今もこうして家まで用意して私を見守ってくれてる。そんな姉さんを裏切るようなこと、どうしてしちゃったんだろう。逃げ出しちゃうなんて、私、ばかだ」

いったん口を開けば、長い間心に秘めていた感情が溢れ出す。

姉さんに対する申し訳なさを、関係のない陽太に向かって次々と投げつけてしまう。

感情的になっちゃだめだと思いつつ、どうにも止まらない。

「ずっと、後悔してたの。どうして我慢できなかったんだろうって。高校生の私を引き取ってくれて、父さんと母さんが亡くなったときにも、何よりもまず、私の将来を考えてくれたのに。高級スーツを買ってもらってびっくりしちゃって……。だから、もう姉さんの言葉に逆らったりするのはやめよう、ずっと側にいようって、決めたから、だから仕事も転勤がない事務職採用を狙って……」

頬に涙が流れる。

ひと息にそう言ったせいか、少々、息苦しい。




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