強引なカレの甘い束縛
はあはあと、何度か大きな息を吐き出し、頬を流れる涙を手の甲で乱暴に拭えば、陽太が跡をたどるように唇で触れてくれた。
「まあ、七瀬がそう思い込むのも仕方がないし、予想はしてたけど」
「……ん?」
「一途だと言えば聞こえはいいけど、自分の想いにとらわれすぎて周りが見えてない。お姉さんのこと、冷静に考えてみろ」
「あ、え? 陽太?」
落ち着いた陽太の声に、この場にそぐわない雰囲気を感じ、視線をあげた。
すると、興奮ぎみの私に同調することなく落ち着いた表情で陽太が私を見おろしている。
普段と変わらない男前全開の顔を間近に見て、こんなときだというのにときめいた。
それと同時に、跳ねていた鼓動が少しずつ落ち着きを取り戻す。
「思い込みが激しい七瀬の性格を考えれば、そうやって自分を責めて落ち込むのは理解できるけどさ。落ち着くのが先決」
「お、落ち着いて……る」
陽太の落ち着きがなんだか気に障って、強気な言葉を返そうとしたけれど、自分の言葉に自信が持てない。
落ち着いていると言おうとしても、声は次第に小さくなった。
荒い息づかいが続いている中で、落ち着いていると、言えるわけがない。