強引なカレの甘い束縛


それどころかうんうんと小さく頷きつつ。

「萩尾さんの事務処理能力と、出しゃばり過ぎないのにどんな状況でも、誰に対してでも臨機応変に受け答えできる能力は秘書にぴったりだって、秘書課のメンバーは見抜いたんだよ。この半年、秘書課の経理処理を手伝っていただろ? そのときに目をつけられたみたいだけど、俺も、残念だよ」

明るい声音からは、ちっとも残念だと思っていないような気がする。

私が秘書課に異動することがうれしいような、そして、大原部長自身がそれを望んでいるかのように感じるのは気のせいだろうか。

「それにしても……突然すぎます」

たしかにこの半年、大原部長からの指示で秘書課の経理処理をサポートしていた。

秘書のみなさんが忙しそうにしているときにはそれ以外の仕事を手伝う機会も多かったけど。

社長や取締役が主催する会議の準備やお茶出しを手伝ったり、書類のコピーを引き受けたりした程度で、それは誰にでもできること。

それなのに、仕事を離れるふたりの代わりに私をわざわざ指名してくれるなんて、意外だ。

入社以来、システム開発部の事務担当としての毎日に不満を抱いたこともないし、別の部署への異動を希望したわけでもない。

おまけに、秘書課といえば見た目だけでなく仕事ぶりも優秀な女性ばかりが集まる部署だ。

社内の女性の多くがあこがれる場所だともいえるのに、私がそこに交じってもいいのだろうか……。

いや、よくない。



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