強引なカレの甘い束縛
「どうしたの? なにかまずいことでも、聞いた?」
「いや、まずくは、ないけど……」
「けど?」
「んー。けど、まあ、いいか。七瀬との結婚も決めたし、七瀬の秘書課への異動も確実だろうし」
陽太は手元を見ながらぶつぶつと言っている。
思い返すように、悩むように、しばらくの間、真剣な表情で考え込む姿を見れば、聞いてはいけないことを聞いてしまったのかと、私の方が焦ってしまう。
すると、何かを吹っ切ったような顔を私に向けた陽太は、すっと息を吐き出したあと、口を開いた。
「忍さんは、七瀬と俺の新居を探してくれていたんだ。いい部屋があるからってその間取り図を送ってもらったんだよ」
「新居? え、私たちの?」
「他に誰が住むんだよ。俺と七瀬の愛の新居。会社からもそう遠くない新築マンション。さすが音羽家だよな、馴染みの不動産屋に口をきいてくれて、すぐに見つけてくれたんだ。あ、すぐに引っ越しできるぞ」
「ちょっと、待ってよ。いつの間にそんなことを」
「ん? かなり前から」
「え……」
「七瀬を好きになって、結婚しようって決めてすぐに、忍さんに俺の気持ちは見抜かれて」
「は?」
「単なる世間知らずの御曹司かと思ってたけど、なかなか鋭いよな。俺の気持ちをすぐに見抜いて呼び出されたんだ」
陽太はくくっと笑い声をあげて、肩を震わせた。