強引なカレの甘い束縛


「七瀬に内緒で会いたいって言われて会いに行ったら、『七瀬ちゃんのことを真面目に考えているんだろうな。それと、音羽家との繋がりは期待するな』って釘を刺された。なかなか迫力があって、男ながら惚れ惚れするほどだった」

「そんな……私、音羽家の親戚だけど、ただ、それだけで……」

いつも温和な忍さんがそんなことを言ったなんて信じられないけど、陽太が嘘をつくとも思えない。

それ以上何も言えず陽太を見つめていると。

「音羽家うんぬんはおいておいても、忍さんが七瀬を大切に想っているのはよくわかるから、いずれ七瀬と結婚したいと思っている気持ちを正直に伝えたんだ。七瀬よりも先に忍さんに気持ちを伝えることには抵抗があったけど、まずは外堀を埋めてもいいかなと、考えたんだ」

「外堀……」

「そう。これからの人生に刺激も変化も必要ないって口癖のように言ってる七瀬の気持ちを掴むためには、身内を味方につける方が得策かなと考えたんだけどさ。忍さんに、へたに動いて七瀬を悩ませるのはしばらく待ってほしいって止められたんだ。七瀬のっていうよりも、お姉さんの気持ちを考えて欲しいってのがほんとのところだったと思うけど」

心なしか低くなった声に、どきりとした。

お酒の酔いが交じってふわりとしていた気持ちがさめ、一瞬で現実を見せられたような気がする。

姉さん……。

忍さんが姉さんを第一に考えるのはよくわかる。

ひとりになる私を心配して結婚を渋る姉さんを、あらゆる方法と甘い言葉で攻め落とした強者だ。

結局、姉さんは結婚後も必要以上に私を気にかけ、私を自分のテリトリーに置いて世話をやいてくれる。



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