強引なカレの甘い束縛
「な、なに……?」
「いや、俺、ほんとに七瀬に惚れてるんだなって実感してるんだ」
「はあ?」
「だってそうだろ? 七瀬が俺に惚れるように、誰よりも近くにいて。俺がこの先転勤になっても一緒についてこられるように、七瀬の異動先の選択肢を広げるためにシステム開発の講習会も受けさせて」
「そ、それって……え? 陽太がそれを仕組んだの?」
「仕組んだというか、大原部長もそれはいいなって乗り気だったし。おまけに、秘書課で仕事の幅を広げれば、営業部の部長の秘書っていう仕事もできるようになるし」
「陽太? あの、いったい、私をどうしたいの? 講習会やら異動だとか、私はこれからどうなるの……」
ここ最近の思ってもみなかった慌ただしさの原因が、陽太にあるのかもしれない。
だけど、まだまだ若手の陽太にそんな権限があるとは思えない。
だとすれば、大原部長が私のこれからを考えて、いろいろ仕組んでいたということだろうか。
そのことに、陽太が絡んでいるのだろうか。
「陽太? 私は、これから……」
戸惑いながら視線を向けると、陽太は大きな笑顔を浮かべて、ゆっくりと口を開いた。
「一体どうなるのかなんて、決まってるだろ。俺の嫁さんになって、幸せな毎日を送るんだ」
自信にあふれた声音に、ふっと心が軽くなったような気がしたけれど。
まったくすっきりしない。
私の知らないところで、陽太は何を企んでいるんだろう。
「あの、もう少しわかりやすく……」
体を陽太に向け、気持ちを落ちつけながら口を開いたとき。
手元に置いていたスマホが電話の着信を告げた。
画面を見れば、忍さんからだった。