強引なカレの甘い束縛


「忍さん?」

私の問いかけに、スマホの向こう側から忍さんの小さな吐息が聞こえた。

『七瀬ちゃんが忙しいのはわかってるんだけど、俺、実は今晩から出張なんだ。申し訳ないけど、穂香の世話をお願いできないかな? そばにいて細々したことをしてくれればいいんだ。明日、何もなければ退院だから、家まで連れて帰ってくれるとありがたいんだけど』

「あ、もちろん大丈夫です。早速、今から行きますね。で、病院はどこですか?」

『いや、完全看護だから、夜は身内でも帰らされるんだ。だから、明日の午前中にきてくれれば、それでいい。それに、薬が効いてるから眠ってるし』

「そうですか……。わかりました。明日の朝行きます」

『ありがとう、助かるよ。秘書の日下さんに退院の手続きに行ってもらうから、一緒に家まで送ってもらうといいよ』

明日行くという私の返事に安心したのか、忍さんは小さく息を吐き出した。

本当なら、自分が姉さんのそばにいたいと思っているだろうけど、次期後継者となれば、こんなときでさえ、思うように自分の時間を持てないのだろう。

「わかりました。……あ、あの、忍さん」

『ん?』

「あ、あの……」

姉さんのことをもう少し詳しく聞きたいけれど、なんだかうまく言葉にできない。

気になっているのは、姉さんの足のことだ。




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