強引なカレの甘い束縛


翌朝、私は会社に電話をして事情を話し、休ませてもらうことにした。

姉の容体次第で明日以降も休んでいいと課長に気遣われ、ホッとした一方では私ひとりが会社を休んでも会社に影響はないんだなと少し落ち込んだ。

そういえば、大原部長もそんなことを以前言っていたなと思い出す。

私の秘書課への異動も、社内全体で考えればそれほど大した問題ではないんだろうと、肩の力も抜けた。


*****


「うわあ、顔も打ったの?」

姉さんの病室に入った途端目に入ったのは、姉さんの顔の左側に貼ってあるガーゼだった。

それほど大きくないとはいっても、真っ白なそれはなかなか目立っていて痛々しい。

私の頬も痛くなりそうだ。

「そうなの、どんくさいでしょ? 公香が自転車でこけないように追いかけてたのに、私のほうがこけちゃって。
おまけにこけ方がへただったから、頭から地面にとびこんじゃった」

ベッドから足を降ろして腰かけていた姉さんは、ははっと笑った。

その口調はしっかりしていて、昨日の脳震盪の影響も見られない。
少し、ホッとした。
「わざわざごめんね。忍が来てくれって無理矢理お願いしたんでしょ?」

「ううん、大丈夫。……姉さんのほうこそ、どう?」

私はベッドの横にパイプ椅子を置いて、座った。

姉さんが入院している個室には、ベッドの横にテレビがあり、姉さんはベッドに腰かけてワイドショーを観ていたようだ。
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