強引なカレの甘い束縛
「七瀬はお茶よりコーヒーが飲みたいだろうけど、家に帰ったらおいしいコーヒーを淹れてあげるからお茶で我慢してね。あ、近所の人からおみやげにもらったおいしいお菓子がたくさんあるから、それも食べてね」
「あ、そうなの、ありがとう」
「そうだ、公香のお洋服を買いに行ったときに、七瀬が気に入りそうな靴も見つけて買ってあるの。それも持って帰ってね。深い緑のハイヒールなんだけど、黒いリボンがあしらわれていてかわいいのよ」
「……そ、そうなんだ」
「それに、七瀬が好きなアイドル……えっと、この前のコンサートはチケットがとれなくて悔しがってた……あの男前のグループ。名前は忘れちゃったけど、忍に伝手があったから、来月のチケットを取ってあるわよ。陽太君と一緒に行っておいでよ」
冷蔵庫の中身を片付けながら、姉さんが早口で言葉を続ける。
私が口を挟む間もない明るい声はいつもと同じで、姉さんの状態が悪くないとわかるけれど、こんなときにまで私のことばかり気にしている。
それが少し、苦しい。
買い物に行けば私の物をたくさん買ってくるし、旅行に行けばおみやげはもちろん現地で有名なお酒も飲みきれないほど買ってきてくれる。
もう社会人になって数年が経つというのに、お小遣いをくれようともする。
住む家を提供してもらっているだけでもありがたいのに、お小遣いなんてもらえるわけがない。