強引なカレの甘い束縛


母親として公香と唯香に注ぐべき愛情の何割かは私に向けられ、姉さんの生活の中にはいつも私への想いがある。

私への強い執着心の裏側にある後悔の念がわかるだけに、私はどうしていいのかわからない。

はっきりと拒むことも、素直に受け入れることもできない。

姉さんの足を傷つけてしまった申し訳なさも加わり、私と姉さんのかみ合わない関係の行先が見えないままなのだ。

その後、問診でも異常がなかった姉さんは、無事に退院をした。

忍さんの秘書の日下さんに家まで送ってもらい、ちょっと遅めの昼食をいただくことになった。

忍さんのお母さんが用意してくれたオムライスは、公香のリクエストだそうだ。

幼稚園を休んで姉さんの帰りを待っていた公香は、私たちが帰ってきてからずっと姉さんから離れない。

普段は妹の唯香の世話に忙しい姉さんに気遣ってわがままを言わない公香だけど、ひと晩別々に過ごした夜がよっぽど寂しかったのか、今も姉さんの横に座って一緒にオムライスを食べている。

「おばあちゃんのオムライス、おいしいね」

姉さんが公香の口元についたケチャップをティッシュでふくと、くすぐったそうに笑い声をあげ、公香は大きく頷いた。

「朝ご飯はフレンチトーストだったんだよ。おばあちゃんがいっぱいシロップをかけてくれたからいっぱい食べたの」

もぐもぐとオムライスを食べながら、必死で教えてくれる公香に私は「いいなあ」と答えた。

公香の大好物ばかりを作ってくれたおばあちゃんを見れば、忍さんに良く似た整った顔立ちを崩し、嬉しそうに笑っている。

孫だけでなく、嫁である姉さん、そして私のことも家族として大切にしてくれる忍さんのお母さん。

こうして無事に退院できて、安心したようだ。



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