強引なカレの甘い束縛


「陽太君ね、ななちゃんが大好きだから、ひつじさんの名前もななちゃんってつけてたよ」

「ひ、ひつじ……」

「うん。公香のひつじさんはプリンっていうの」

「あ、そうなんだ。おいしそうだね」

「うん、今日、頑張ってもうひとつひつじさんを育てるんだ。それはソフトクリームってつけようって陽太君と約束してるの」

「そ、それも、おいしそうな名前だね……」

陽太が来るのを楽しみにしている公香に笑顔を返しながらも、どきどきしてくる。

これまで陽太は何度もこの家に来たことがあるし、姉さんとも仲がいい。

私にはもったいないほどのいい男だと何度も言われているほどだけど。

陽太が今日大切な話をするためにここに来るというのは、きっと……。

結婚に向けて加速をつけている陽太のことだ、姉さんと忍さんに挨拶をしに来るに違いない。

既に陽太のご両親には挨拶を済ませているし、タイミングとしてはおかしくないけれど、姉さんが怪我をして、退院したばかりの今日、やって来るなんて焦りすぎじゃないか?

私はひとつ息を吐いて、気持ちを落ちつけた。

会社が終わって来るとなれば、遅くなるのかもしれない。

それまでに、もう少し覚悟をしておかなければ。

「どうしたの? オムライス、もう食べないの?」

スプーンを持ったまま考え込んでいた私を、公香が困った顔で見つめている。

五歳にしては出来上がっている綺麗な顔は姉さんに似ていて、頬が緩む。



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