強引なカレの甘い束縛
「ううん、食べる食べる。こんなにおいしいオムライスを残すなんてもったいない」
私は慌ててオムライスをほおばった。
「うん。公香もおばあちゃんが作ってくれるオムライスが大好き。だけど、お母さんのオムライスもおいしいよ」
「知ってる。ななちゃんも食べたことあるもん」
「お母さんのオムライスはグリーンピースがいっぱいなの。ななちゃんも好き?」
「大好き。公香のお母さんはお料理が上手だもんね。なんでもおいしくてパクパク食べちゃうよね」
「パクパクパクパクだね。幼稚園に持っていくお弁当もおいしいよ。ななちゃんのお母さんもオムライス、作ってくれた? このオムライスとどっちがおいしい?」
「え……?」
興味津々な表情で私の答えを待つ公香を前に、私は動きを止めた。
どう答えればいいのか、言葉に詰まる。
姉さんのオムライスは何度も食べたことがあるけど、母さんにオムライスを作ってもらった記憶がないのだ。
「ななちゃん?」
公香の声に、曖昧に頷きながら、どう言えばいいのか、悩む。
母親にオムライスどころか手料理を食べさせてもらったことがほとんどないなんて、公香には言えない。
姉さんの愛情がこもったご飯を当然のように食べている公香にとって、私や姉さんが育ってきた境遇は、まだ理解できないだろう。
それに、家族からのたくさんの愛情を受けて幸せに育っている子どもに聞かせる話でもないし。
「ななちゃんのお母さんは料理が苦手だったの。だから、公香のお母さんの方がおいしいオムライスを作ってくれた……かな」
公香の隣で成り行きを見守っていた姉さんに視線を向ければ、くすりと笑い、肩をすくめた。
私の答えは、どうやら正解だったらしい。