強引なカレの甘い束縛
少なくとも、就職してからの私は仕事でも人間関係でも、変化を求めるようになった。
そのきっかけは、学生時代に学んでいたこととは全く違う部門に配属されても必死で勉強し、今ではシステム開発部門のエースと言われている陽太と出会ったことだ。
努力と向上心、そして変化を恐れない強気な姿勢が人間を豊かにする。
陽太の変化を目の当たりにしながら感じたことを、そのまま自分に置き換えたいと、何度も思った。
できれば新しい仕事を始めてみたい、変化に満ちたわくわくした時間を得たい。
そう思う度、私の変化は姉さんの不安につながると感じ、そんな気持ちにふたをしていた。
ふたをするどころか、そんな気持ちはなかったものとして切り捨て、やり過ごしていた。
だけど、もう、無理だ。
陽太のいる地上へと降りたい気持ちが溢れ出てどうしようもないのだ。
片想いだと諦めていた愛しい人から、同じ想いを返してもらえるという幸せは、凝り固まっていた私の心から、遠慮や罪悪感を取り去った。
陽太と寄り添って生きたいと思う気持ちに嘘はつけない。
「黙り込んでどうしたの? 陽太君がくるからドキドキしてるの?」
くすくす笑いながら、姉さんは私の目の前に桃のゼリーを置いてくれた。
私を大切に想い、今でも自分の家族のひとりとして見守ってくれる姉さんの笑顔に、私は何度助けられただろう。