強引なカレの甘い束縛


退院したばかりの姉さんを公園に連れ出していいのかと思いながらも、忍さんのお母さんが唯香をみてくれるという言葉に甘え、三人で公園に向かった。

いよいよ夏という日差しに温められた空気は夕方になってもその名残を残していて、アイスを食べるにはちょうどいい。

姉さんの家の近くにある公園は、かなり広く、園内にプールや野球場、植物園などを擁している大規模な園だ。

広い駐車場を完備していることもあり、休日には遠くからも多くの人々が訪れ、にぎわっている。

私と姉さんに挟まれて両手をつないでいる公香は、ゆっくりと歩く姉さんに歩みを合わせ、にこにこと歩いている。

途中すれ違う近所の人から「公香ちゃん、今日はお母さんと一緒で嬉しいね」

と声をかけられて満足げに笑い返したり、以前陽太と歩いたときに知り合ったという大きな犬の「カムちゃん」を紹介してくれたり。

休む間もなく話し続けている。

公香のおしゃべりににこやかに相槌をうつ姉さんの顔を見れば、初めて見るかもしれないほど、幸せそうだ。
母親の顔。

子どもが幸せであると実感できるこの時間によって、もともと整っている姉さんの顔がさらに輝いて見える。

個性的な両親のもとに生まれたことで、姉さんは私の成長を見守らざるを得なかったけれど、一度としてそのことに文句を言うこともなく私を優しく導いてくれた。

いつも私を優先し、大切に育ててくれたけれど、今、公香に向ける菩薩さまのような穏やかな表情を見れば、「やっぱりこれだよね」と納得だ。

わが子のように私を育ててくれたとはいっても、やっぱり本当のわが子には敵わない。





< 344 / 376 >

この作品をシェア

pagetop