強引なカレの甘い束縛
そう、私のために割いてくれた時間と、注いでくれた愛情が嘘ではないにしても、公香には敵わないのだ。
そのことに、姉さんは気づいているのだろうか。
新しい家族を得た今、私を必要以上に気遣う必要はないと、わかっているのだろうか。
唯香も生まれた今、公香は自分が姉さんを独り占めできないことを理解し、「おねえちゃんだもん」と言って我慢している。
妹に手がかかる今、それは仕方のないことだけど、だったらせめて、私を心配してくれる時間を公香のために使って欲しい。
「あ、そうだ、そろそろ七瀬の部屋のクーラーを掃除しなきゃね。今年も我が家の掃除と一緒に業者さんにお願いしておくけどいつがいい?」
姉さんが思いついたように声をあげた。
「クーラーか……。陽太が自分の家のクーラーはいつも自分で掃除してるって言ってたし、今年は陽太とふたりでやってみようかな」
「あ、そうなの? だけど、我が家になじみのある業者さんだから、頼んだほうが楽だよ」
「うん……。でも、ずっと音羽家のお世話になるわけにもいかないから。少しずつ自分たちで頑張ってみようかと思ってる」
姉さんがどうんな反応を見せるのかが気になって、早口になった。
「公香と唯香に手がかかるんだし、姉さんや忍さんに……これ以上お世話になるのはだめだなって。ようやく気付いたというか」
「そんなの、いいのに。私は七瀬が幸せになれるように、いつまでも……」
「だめ。姉さんは十分私を幸せにしてくれたから、これ以上はもういいの」
「七瀬、だけど。私はたったひとりの妹を幸せにしてあげたいだけで。お世話してるつもりもないの。甘えていいのよ」
「姉さん……」
やっぱり。
姉さんはこれからも私の面倒をみるつもりでいる。